本記事は自作EAの検証記録であり、特定の手法・金融商品の推奨ではありません。詳しくは免責事項をご覧ください。
トレンド方向への押し目買い・戻り売りは、教科書的には「王道」とされる手法です。これをEA化して、「いつの相場なら勝てて、いつなら負けるのか」を年別に切って検証しました。通期の成績を1つの数字で見るのではなく、あえて年単位に分解したのがこの記事のポイントです。
検証したEAのルール
- 対象:ゴールド(USD建て)、ボリンジャーバンドの中央線(SMA20)を使用
- エントリー:中央線の傾きの方向に、ローソク足が中央線へタッチしたら順張り(傾き上向き+タッチ→買い、下向き+タッチ→売り)。確定バーで判定
- 決済:SL350pip / TP1000pip、+300pipの含み益が出てからトレーリング(300pip幅)が起動
- 検証:2021年〜2026年7月、年別×時間足{M15, M30, H1}の18通り、0.10ロット固定・証拠金1万ドル
検証モデルについての注記:今回は18通りの相対比較が目的のため1分足OHLCモデルで統一しています。以前検証した通り、トレーリング系EAは実ティックとの間で絶対値が変わるため、以下の数字は「年ごと・時間足ごとの傾向比較」として読んでください。
結果:年別PF一覧

| 年 | M15 | M30 | H1 | 相場環境(ゴールド) |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 0.90 | 1.02 | 1.67 | 方向感の乏しいレンジ |
| 2022 | 0.68 | 0.86 | 1.48 | 乱高下(急騰→急落) |
| 2023 | 1.88 | 1.32 | 1.08 | 上昇開始 |
| 2024 | 1.08 | 1.10 | 0.98 | 上昇(ただし本EAには凪) |
| 2025 | 1.41 | 1.19 | 1.51 | 強い上昇 |
| 2026(〜7/1) | 1.05 | 1.35 | 1.11 | 強い上昇・高ボラ |
読み取れたこと3点
① 「王道の手法」でも、負ける年は普通に負ける
18セル中、プラスは13、マイナスは4(ほぼトントン1)。特にM15は2022年にPF0.68・年間−3,170ドルと大敗しています。押し目買いはトレンドがあって初めて機能する手法なので、レンジ・乱高下の年(2021〜2022)には短い足ほど「傾きのダマシ」を拾って削られる——理屈どおりの結果が数字で出ました。
② H1だけが逆風の年も生き残った(6年中5年プラス)
H1は2021年PF1.67、2022年PF1.48と、下位足が負けた年にむしろ最好成績を出しています。時間足が長いほど中央線の傾きがノイズに揺さぶられにくく、「本物のトレンドのときだけ傾く」ためです。唯一の例外は2024年(PF0.98)で、これは上昇相場でも押し目が浅すぎてタッチ回数が機能しなかった年でした。追い風の年ですら勝てない年はある——これも記録しておくべき事実です。
③ PFがプラスでも安心できない:DD(ドローダウン)の罠
2026年のM15はPF1.05でプラスですが、最大ドローダウンは58.9%。口座が6割減る局面を耐えてようやく微益です。同じ2026年でもM30はPF1.35・DD21.4%と別物でした。バックテストの罠の記事で書いた「PFの裏のDDを見ろ」が、ここでも効いています。
まとめ:この検証の使い方
- この手法で残すならH1一択(6年中5年プラス、逆風年に強い)。ただし2024年のような「勝てない年」は必ず来る
- 2023年以降の好成績はゴールド上昇相場の追い風込み。上昇が終われば2021〜22年型の成績に戻ると想定しておくのが安全側
- 年別に切ると「通期PF」が隠す情報が見える。通期1本の成績表だけでEAを評価しない
- 本検証はバックテストのみ。フォワードテストは未実施で、実運用の成績を保証するものではありません
次のステップとして、中央線の傾きに最低角度フィルタを入れた場合にレンジ年の被弾がどこまで減るかを検証予定です。結果はまた記録します。
